マイホームの頭金は必要ない理由

はじめての住宅購入。何から始めていいかわからない方も多いと思います。

いくらの家が買えるのか? 

住宅ローンはどこで借りればいいのか? 

住む場所は?

いろんなお悩みがあるなか、頭金の問題で悩まれる方も多くいますが今回は、そんな頭金にスポットを当てて解説していきます。貯金からいくら入れればいいのか? 

これからいくら貯めればいいのか? 

一般的に言われていることをまずは、見ていただき最後に「やっぱり頭金は必要ない?」と、これを読めばスッキリ解決します!

マイホームの頭金とは

 頭金とは、マイホームの物件価格の一部を現金で払う金額の事をいいます。

マイホームを買うとなると、マイホームの価格にだけ目が行ってしまいますが、それ以外にも諸費用がかかることを頭に入れておかねばなりません。

一般的に諸費用と呼ばれるそのお金の内訳は、住宅ローンの銀行事務手数料、保証料、登記費用、登録免許税、火災保険料、地震保険料など。

購入時に物件価格の310%のお金がかかってきます。

しかも、一般的にそれらは現金での用意が必要です。

 

さらに、マイホームの購入後も費用はかかります。

一戸建てなら修繕費(実際には修繕を行う時に必要ですが、その分を積み立てておく必要があります)、マンションなら管理費・修繕積立金、駐車場代なども別途かかってきます。

これらの費用は住宅ローンの毎月の返済とは別途でかかってきます。

結構バカになりません。また、毎年、固定資産税の請求も訪れます。

ですから、手元にあるお金を頭金にすべて使えるという判断は間違いです。

諸費用のために現金を用意しておかなければいけないことを覚えておいてください。

なぜマイホーム購入に頭金が必要なの?

一般的に、頭金は物件価格の2割以上が望ましいと言われています。

これは昔、住宅金融公庫などの住宅ローンの融資額が物件価格の8割(担保評価)までとなっていた時代、2割は自分で用意しなければならなかったという背景もあります。

現在は、頭金ゼロでも融資してもらえる金融機関が増えました。

ですが、この説がいまだに根強く残っているのは、やはり、借り入れが多くなると、その分利息を多く払うことになり、結果的に損をしてしまうからです。

支払いがきつくなる、利息を多く払うことになる

例えば3,000万円の物件を返済期間30年、金利2.0%という条件で購入する場合、頭金ゼロなら総支払額3,991万円になります。

総支払額が借入額の3割り増しくらいには膨れ上がりますね。

ですが、頭金2割(600万円入れる)を用意すると、返済総額は3,193万円になり、総支払額は3,793万円になります。

くらべてみると198万円もの差がでますね。

頭金2割支払ってでも総支払額を少なくしたいという方が多いのも納得です。

実際にどれくらいの頭金を出しているのか?

マイホームの頭金2割が一般的と言われていますが、実際、多くの方はいくら頭金を入れているのでしょうか?

2017年6月に発表された、「2016年度フラット35利用者調査」によると2016年度の頭金の平均は682.3万円でした。

これは住宅資金による割合の20.6%。見事に2割という通説を立証しています。

みなさん、意外と常識を守って頭金2割を準備できているのですね。

でも、なかには工面できず頭金なしで家を購入される方もいらっしゃいます。

マイホームの頭金ゼロの3つのリスク

  1. 住宅ローンの審査に不利になるということ。
    当然ですよね。貯金のできない人に銀行も安心してお金は貸せません。
    借りられても金利が高くなる可能性もあります。
  2. 総支払額が高くなること。
    これも先ほど述べましたが返済期間が長くなる分、仕方がありません。
  3. 売却の時に困るということ。
    マイホームは買った時点で新築でなくなります。そのため、価値が下がって12割程度、買った時の物件価格より値下がりするのが一般的です。
    マイホームの頭金を入れていないと、当面は売却価格がローン残債を下回る可能性が出てきます。
    したがって、差額分を現金で用意しないと、売りたいときに売れないという問題が発生するのです。

頭金ゼロの場合は、これら三つのリスクを踏まえて、借り入れしてほしいものです。

頭金をどうやって貯めた?

マイホームの頭金2割を用意するとなると、例えば3000万円の物件なら、頭金は600万円になります。

これに諸費用がプラスされる訳ですが、新築住宅の場合は最低でも90万円~210万円、中古住宅の場合は180万円~300万円の諸費用が必要です。

そうなると、中古住宅ならトータルの自己資金は900万円用意しておかないといけないことになります。

結構ばかになりませんよね。みなさん、どうやって貯めたのか気になるところですが、半数の方は自然と貯まったという意見です。親からの援助もついで多い回答ですが、節約して計画的に貯めたという意見はその次になります。

これは残念な結果ですね。

自然に貯まった方は計画的に貯めれば、もっと頭金を増やすことができたはず。

それによって購入する家の価格帯も変わりますし、やはり計画性は大切ですね。

頭金を用意するメリット

では、マイホームの頭金を用意するメリットについて触れていきましょう。

これは当然のことですが、頭金を多く入れるほど借入額が減りますので、月々の返済額が減ります。

もしくは、返済額は一緒にしておいて、返済期間を短くするという手立てが可能です。

そうすることによって、総支払額も大きく減りますので最大のメリットと言えます。

住宅ローンが借りやすくなる

また、先ほど挙げたデメリットとは逆になりますが、住宅ローンの審査では収入に対する借入額の上限が決まっているので、頭金が多くなると住宅ローンの借入額が少なくなりますので必然的に住宅ローンの審査に通りやすくなります。

ですので、収入が低い方ほど、頭金があると、その分住宅ローンを借りやすくなります。

優遇金利で有利になるかも

さらに、住宅ローンによっては、マイホームの価格と借入金額の比率によって金利を優遇する金融機関もあります。

これによって低い金利で借り入れができるといったメリットもあります。

これは大きなメリットですよね。どれも頭金を増やしたくなるメリットです。 

マイホームの頭金として使えるお金を把握しよう

 これらのメリットを考えると、少しでも多く頭金を払いたくなると思いますが、それによって貯金が底をついたり、生活が不安定になるようでは意味がありません。

マイホームでの新生活が楽しめるわけがありませんから。

新しい家具でインテリアを素敵に彩ったりといった楽しみもなくなりますしね。

また、いつ何時、お金が必要になるかわかりません。

例えば、夫婦どちらかが病気で仕事ができなくなったり、転職したりなど、不測の事態も考えると、蓄えはあった方がベストです。

また、将来の蓄えまで使ってしまうのは賢明ではありません。

一般的には、生活予備費は生活費の3ヶ月から1年分と言われています。

それに家を買ってから老後の蓄えを始めるのでは遅いからです。

ですので、頭金額は、貯金-住宅購入諸費用―生活予備費―家具購入費―将来への貯蓄で考えるのが良いでしょう。

現在の年収から住宅ローンの「借入可能額」をチェックしよう

ここまで頭金の話をしてきましたが、頭金をいくら入れられるかによって借入可能額が決まるということはありませんのでご安心ください。

そもそも、いくらまで借りられるか、借入可能額は年収によって決まります。

ほとんどの金融機関で返済負担率というものが設けられており、その範囲内で借り入れ可能かどうかが決まります。

例えば、フラット35の場合、返済負担率は年収400万円未満で30%、年収400万円以上で35%となっています。

つまり、年収400万円の人は、MAXで年間140万円(月々11.6万円)の返済に相当する住宅ローンが組めるということです。

年収が399万円の場合ですとMAXで年間119.7万円(月々約10万円弱)の返済に相当する住宅ローンが組めるということです、実際、年収400万円未満の方がMAXの月々10万円返済のローンを組まれるケースもほとんどありません。

家賃と比べると

最近では多くの方が、現在支払っている賃貸の家賃を目安に月々の返済額を決めてローンを組んでいます。それが正しいかどうかということは置いておいて、家賃を目安に住宅ローンを計算してみますと……

家賃を住宅ローンで見ると

家賃8万円  金利2% 返済期間35年 借入総額2420万円

家賃10万円 金利2% 返済期間35年 借入総額3020万円

となります。

金利は将来の上昇を見越して少し高めに設定しました。

これを見ると、借入目安額が一目瞭然になります。

ですので、多くの方が家賃を参考に借入額を検討されます。

不動産会社がこの計算法を進めるのです。難しいことを考えなくてすみますし、ラクチン。

この額の物件があればすぐに購入を勧められますものね。

長期のライフプランに照らしても、返済可能かチェック

ですが、返済期間は35年と長期です。

35年後あなたはいくつになっているでしょうか? 

住宅ローンは長い道のり、長い目で見なくてはなりません。

将来、教育費がかさむ時期、老後の準備をしなくてはいけない時期、この額が払い続けられるでしょうか? 

ぜひご自分のライフプランと照らし合わせて検討してもらいたいところです。

マイホームの頭金の一般的なまとめ

 上記の家賃8万円と家賃10万円の借入総額の比較で、もうひとつ勉強になることがあります。

それは、頭金を入れるか入れないで月々の返済額にどれだけ差がつくかという点です。

頭金を物件価格の2割で計算しますと、3000万円の家を買う場合、頭金は600万円いれることになります。

すると、借入総額は2400万円になります。

マイホームの頭金ゼロだと借入総額はそのまま3000万円。

月々の返済額はいくらになるかというと……。

おわかりですよね。

上の家賃比較を見て下さい。家賃8万円(1か月の返済額)だと総借入額は2420万円、家賃10万円(1か月の返済額)だと総借入額は3020万円。月々の返済額が頭金の有無によって10万円-8万円=およそ2万円の差がつきます。

これは生活費に大きく響きますよね。

先行き不安のなかで暮らしていくなか、この2万円の差は大きいです。

あるアンケートではおよそ9割の方が“マイホーム取得に不安を持っている”というデータもあります。

となると、頭金を入れて生活費を抑えるというのも必要な手段と考えます。

これらのことを踏まえて、住宅資金を準備してもらいたいのです。

やっぱりマイホームの頭金は必要ない!

しかし毎月10万円払っていけるのであれば

先程の例のように、マイホームの頭金を600万円払える人は、それだけお金を貯められている人なので住宅ローンの支払額を月々10万円にしても、払っていけるのではないでしょか?

その場合、月々2万円多く支払いますが35年間で840万円多く払うことになります。

では、頭金の予定の600万円を運用してみてが、いかがでしょうか?

ここでは、最低限の利回りの3%で試算してみます。

600万円を3%35年運用した場合、1,712万円になります。

どうでしょうか?840万円多く払う代わりに35年後には1,712万円になっています。つまり倍以上になって戻ってきたことになります。

運用でおいておいたお金はいつでもイザというときに引き出せますので、マイホームの頭金に入れるよりも安心だと思います。

そう考えると、頭金に入れるのが勿体無い気もしてきます。

問題は、人によってはライフイベントが違いますので、ライフプランを立てて、自分の場合どうかというところを個別シュミレーションすることが大切ですね。

どうか損のないよう、みなさんが満足のいく住宅購入ができることをお祈りします。