マンション

泉佐野市にお住いのT様の息子様から相談がありました。

話を聞くと、お父さんが月々の住宅ローンの支払いにお困りとのこと。借り換えで返済額を減らしたいのだけど、借り換えを引き受けてくれる銀行が見つからないとのことでした。

現状の住宅ローンの内容を拝見すると

  残念数 金利 金額 月々返済額
住宅金融公庫 20年 5.6% 1,400万円 97,000円
年金住宅融資 20年 5.6% 1,100万円 76,300円
協同住宅ローン 20年 3.825% 300万円 12,500円

の合計 2,800万円でした。月々返済額 185,800円です。
(総支払額 45,909,485円)

うーん。確かに金利が高いですね。
しかも、Tさんの年収は550万円ですので、月々の支払いが生活をかなり圧迫しているのがわかります。
なんとか借り換えを成功して息子さんに親孝行をさせてあげたいですね。

さらに詳しく話を聞くと、不動産の担保評価が出ないので借り換えができないとのこと。担保評価とは、金融機関が融資を行う際に、担保となる土地や建物が時価でいくらになるか計算するもので、これをもとに融資可能額を判断するのですが、話を聞き進めるうちに、どうも問題はそこだけではないようでした。

内容を聞いて私が気づいた問題点は

・車のローンがある
・Tさんの年齢が54歳
・担保評価不足

の3点。問題の合わせ技でした。

でも、お客様は不動産の担保評価以外にも問題があるとは思っていません。
だって、銀行はそんなことまで詳しくは教えてくれないのですから。

 

「問題が重なると解決が難しいのでは?」と思われるかもしれませんが、問題が明らかであるということは解決策もあるということです。

 

借り換えを成功させるには、これらをひとつひとつクリアするための策を練る必要があります。

 

車のローンがある場合の住宅ローン審査の対応

まずは一つ目、車のローン対策です。

Tさんの年収は550万円で現在の住宅ローンの残金は2,800万円の20年です。

これだけで返済負担率はギリギリ。

つまり、借り入れできる額がMAXということです。

車のローンを残しての借り換えは難しくなります。

 

そこで、車のローンを一括返済できるかと尋ねたのですが、それは難しいとのことでした。
そうなると、できることは「収入合算」です。

奥様がパートなどで収入があれば、夫婦の収入を合算して返済負担率をクリアするという方法です。
ところが、Tさんの場合、奥様は他界されていたんですね。

 

そもそも、奥様が生前の頃は、パートに出ておられたので、月々185,800円の住宅ローンもなんとかなっていたそうです。

奥様が他界されてからは、Tさんの給料も年々と減り、毎月の住宅ローンの支払いも厳しくなる一方……ということで、息子さんが心配なさってこちらにお見えになった次第です。

 

そこで、息子さんに収入合算のことをお話しすると、

「どうしてもお父さんを助けたい。借り換えすることによって、月5万円も返済額が減るのであれば協力したい」

という返事をもらいました。

 

もちろん、息子さん側にもリスクがある点を理解してもらった上での話です。

 

当時、息子さんは、大阪市内に奥様とお子様と3人で賃貸マンションにお住まいでした。

息子さんがお父さんの住宅ローンの連帯保証人になれば、ご自身が住宅を購入する際、その影響で住宅ローンを組むのが難しくなる可能性があるのです。

 

それでも父親のためにと、腹をくくって下さったことには感服いたしました。

息子さんが収入合算を引き受けて下さったおかげで、返済負担率の問題はクリアできたのです。

 

54歳の住宅ローンの攻略

しかし、問題はまだあります。次に、Tさんの年齢が54歳というポイントです。

銀行によって違いますが、住宅ローンの受け付けは60歳、定年までというところが多いです。

Tさんは54歳なので問題ないのでは? と思われるかもしれません。

ですが、54歳のサラリーマンが銀行に25年2,800万円の住宅ローンを申し込んだ場合、銀行としては貸したお金をどうやって返してもらえるのか? という点に注目します。

この銀行側の不安を払拭せねばなりません。

方法は色々あるのですが、どういう手でいきましょうかと相談していると、Tさんは大手の会社で長年勤務しているので、ある程度の退職金が出るのではというお話をされました。
そこで、さっそく退職金支給証明書を会社から出してもらいました。
退職金の見込み額はなんと1,200万円。
これは使えます!

 

Tさんの退職時に一部返済軽減型の繰り上げ返済を行うとして、残った住宅ローンの返済額を計算。その後の年金額から月々の返済が可能であることの資料を揃えました。これで年齢の問題をクリアする手はずは整いました。

 

担保評価が低い場合は

最後は担保評価の不足の問題です。
まず、物件の担保評価を出してもらい、物件だけで減額にならないか先に調べました。銀行にお願いすると、お客様の個人情報に審査履歴が残りますから、事前に調べたのです。すると、担保評価で結構減額されることがわかりました。そして、「評価は大丈夫ですよ!」と言ってくれた銀行が何行かありましたので、そこと交渉に入りました。

 

交渉に入ると、返済負担率の問題が浮上しました。
息子さんとの収入合算でクリアする予定だったのですが、息子さんが同居でないことから断られるという事態が続いたのです。

 

ですが、ほんの数行、担保評価と息子さんが非同居の合算を認めてくれる銀行が残りました。

 

ここからが本気の交渉です。
申請書をポンとだすだけでは、まず審査にクリアできません。
Tさんの定年後の返済計画を担当者に何度も詳しく説明しました。
そして、ようやく「定年後も返済に問題なし」と理解を示してもらい、審査に入れました。ここに来るまでに、3か月はかかったと思います。
時間がかかった分、銀行から「満額審査OKです」との連絡をもらったときは、何とも言えない達成感がありました。

 

結果、月々の住宅ローンの返済は5万円以上減り、トータルの返済額も変動を無視して1,300万円以上マイナスとなりました。

 

これにはTさん親子も大満足の様子で大変喜んでもらえました。
私も息子さんの親孝行に役立てて嬉しかったです。

 

「住宅ローンで困る人を助けたい」という創業当初の思いに沿うことができ、思い出に残る仕事となりました。

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