今回のケースは、夫婦が離婚し、夫名義の家を収入のある別居の息子に買い取ってもらうという相談です。
「離婚後の家のローン、どうしよう…」
「親子間で家を売買したいけど、銀行で住宅ローンを断られた…」
このような深刻なお悩みを抱えて、藁にもすがる思いでお問い合わせをいただくことがあります。
今回は、お客様との実際のメールのやり取りをご紹介しながら、多くの方が直面する「離婚」と「親子間売買(親族間売買)」における住宅ローンの壁、そして、その不安に私たちがどう向き合っているのかを実録形式でお伝えします。
発端は、離婚後のご相談と「息子の多重債務」という深刻な悩み
「離婚することになり、今住んでいる家をどうすれば良いか…」
最初のお問い合わせは、離婚に伴うご自宅の今後に関するご相談でした。しかし、お話をお伺いする中で、お客様はさらに深刻な悩みを打ち明けてくださいました。
「同居の息子が多重債務者なんですが、大丈夫ですか?💦」
この一言に、お客様の深いお悩みと不安が凝縮されていました。私たちは、ご子息の債務状況を整理し、新たな住宅ローンと一本化する「おまとめローン」の活用も視野に入れ、解決の道を探り始めました。
しかし、お客様の不安はそれだけではありませんでした。
「なぜ、よそで断られた親子間売買ができるの?」- お客様の正直な疑問
「銀行に問い合わせても親子間だと(住宅ローンは)ダメだと言われたんですが、どうしてここならできるんですか?」
これは、親子間売買や親族間売買をご検討されるほぼ全てのお客様が抱く疑問です。
なぜ親子間売買の住宅ローンは難しいのでしょうか?
それは、金融機関が「適正な価格での売買なのか」「住宅購入が目的ではなく、親の事業資金への流用など、別の目的があるのではないか」といった点を懸念するためです。その結果、多くの金融機関が親子間売買への融資に極めて慎重、あるいは融資不可とするのが実情です。
「銀行で断られたのに、なぜ?」お客様がそう思われるのは、至極当然のことでした。
「過去にグレーな方法で…」- 過去の経験が産んだ、さらなる不信感
お客様の不安をさらに根深いものにしていたのが、過去のご経験でした。
「最初に住宅ローンを組んだときも、自営業だったので色々、不動産屋さんにえをかいてもらってローンを組んだんですが、かなりグレーだったんで…」
過去に、事実と異なる内容でローンを組んだご経験があったのです。住宅ローンの不正利用は、発覚すればローンの一括返済や、最悪の場合、詐欺罪に問われかねない、絶対にあってはならない行為です。
お客様は、私たちが提案する方法も、過去と同じような「グレーな方法」ではないかと強く懸念されていました。
私たちのスタンス「違法なことは、決していたしません」
お客様のこの率直な告白に対し、私たちは毅然としてこうお伝えしました。
「そういう違法なことはしません。そういう事をすると、銀行とも取引できなくなりますし、資格も剥奪されます。」
私たちファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士は、お客様の利益を最優先すると同時に、法令を遵守する義務があります。お客様からお預かりした個人情報には厳格な守秘義務が課せられています。
お客様を危険に晒すような違法な取引や、金融機関を欺くような手続きは決して行いません。それは、お客様のためであると同時に、金融機関との信頼関係を守り、私たち自身の資格と未来を守るためでもあります。
この私たちの明確な姿勢をお伝えしたことで、お客様は少し落ち着きを取り戻してくださいました。
信頼の先へ。具体的な解決策と共に
私たちのスタンスをご理解いただけたことで、ようやく具体的な解決策のお話を進めることができました。ご子息の借入状況を整理し、住宅ローンとのおまとめローンを組み合わせた詳細な資金計画、今後の流れ、そしてご面談に必要な書類を具体的にお伝えしました。
離婚、親子間売買(親族間売買)、住宅ローンの問題は、様々な事情が複雑に絡み合い、精神的にも大きなご負担となります。
しかし、一つひとつ問題を整理し、専門知識と金融機関とのネットワークを駆使することで、解決の道筋を見つけ出すことは可能です。親子間売買の住宅ローンは、確かに簡単ではありません。しかし、売買の妥当性を客観的な資料で証明し、正しい手続きを踏むことで、融資が承認される可能性は十分にあります。
もし、あなたが離婚後のご自宅のことで悩んでいたり、親子間売買を「無理だ」と諦めかけていたりするのでしたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。
お客様の不安に真摯に耳を傾け、法令を遵守した安全な方法で、あなたにとって最善の解決策を一緒に見つけ出すことをお約束します。